「世界の政治・企業リーダーが目指す Business for Nature 最前線」東梅貞義

講演日時

2022 年 10 月 26 日 (水曜) 19:00 – 20:00 [ オンライン配信 ]

講演タイトル

世界の政治・企業リーダーが目指す Business for Nature 最前線

生物多様性を回復させる革新的ネイチャーポジティブビジネスモデルへの期待

講演内容

カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現は、一部の先進的な国の取り組みから日本や途上国を含むすべての国が目指す国際的政治目標となりました。これに伴い、化石燃料に依存した生産・流通・消費のビジネスモデルの大転換が世界規模で起きつつあります。これには、気候危機がグローバルリスクの最も深刻なものの一つという共通認識が、政治とビジネスを動かしてきた背景があります。

この数年で急速に政治リーダービジネスリーダーの間で認識が深まりつつあるもう一つのグローバルリスクが、生物多様性減少の危機です。過去 50 年間で生き物の数が世界的に約 7 割減少している深刻な危機であり、SDGs の目標のうち 35 の目標が、生物多様性の減少トレンドにより達成が困難となると政府間科学者会議により指摘されています。

一方、生物多様性減少の危機を、2030 年までにこれまでの減少のトレンドを転換し「ネイチャーポジティブ(生物多様性回復)」を実現する目標に対し、90 カ国以上の首脳や 1000 社以上の企業がネイチャーポジティブを目指すと宣言しています。カーボンニュートラル社会への社会モデルの移行とネイチャーポジティブ社会へのモデル移行が連携して進めることの重要性が、この 1 年の間に急速に注目を集めています。

ネイチャーポジティブ社会への移行は、生物多様性減少の 80 %の主要な原因である 3 つの産業群 ( 1. 食糧生産・土地・海洋利用、2. インフラ・都市化、3. エネルギー・採掘 ) のビジネスモデルを転換する必要があると世界経済フォーラムが報告書を 2020 年に発表しました。それをグローバルに 15 の新たなビジネスモデルへの移行を図ることで、根本的な環境・社会課題の改善と、2030 年までに年間 10.1 兆ドルの事業機会・約 4 億人の雇用創出につながるとも予測されています。

果たして 15 のビジネスモデルの転換のうち、日本に関係の深いビジネスモデルはどこなのか、どんな企業セクターにどんな変革が求められているのか、自然環境保全の最前線からの実例を紹介します。

講演映像


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登壇者 プロフィール

東梅 貞義 Sadayoshi TOHBAI
東梅 貞義 WWF ジャパン事務局長

1965 年岩手県生まれ。1990 年に国際基督教大学教養学部理学科 ( 生物専攻 ) 卒業後、英国エジンバラ大学で自然資源管理を専攻し 1991 年に修士号 ( Master of Science ) 取得。1992 年に WWF ジャパンに入局し、日本国内の重要湿地の保全活動に携わる。

2011 年から自然保護室長として、また 2019 年から 2020 年まで、シニアダイレクターとして、野生生物、森林、海洋水産、気候・エネルギー、国内の自然保護活動を統括。

この間、2017 年 ~ 2020 年に、アジア太平洋地域 23 カ国の各 WWF オフィスで活動する自然保護室長代表も務め、2019 年には、アジア太平洋地域における WWF の違法野生生物取引対策ハブの設立を主導。

2020 年 7 月より、WWF ジャパン事務局長に就任。「 2050 年脱炭素社会実現 」と「 2030 年生物多様性回復 」のため、企業の役員などとのサステイナビリティ対話や、政策アドボカシーに重点的に取り組んでいる。