講演内容
日本の産業界がイノベーションの枯渇に喘いでいる。その一つの要因として、大企業による理工系人材の囲い込みによる閉鎖系の開発モデルの陳腐化がある。そこで既存の企業を経由せずに大学発の知を直接的に社会実装する試みが活発化している。いわゆる大学発の起業であるが、その仕組みが機能するためにはサイエンス、経営人材、資本、事業インフラが柔結合するエコシステムの形成が必要である。ようやく我が国において、このようなエコシステム形成の営みは緒についたところであり、克服すべき課題は多い。
そこで本学会では、大学を中心とするサイエンス to ビジネスの最前線の実態を探り、諸外国の取り組みとも比して、日本のイノベーションエコシステム形成の現状課題把握と将来展望を試みる。
大会共同委員長 早稲田大学 大学院経営管理研究科 ( ビジネススクール ) 牧 兼充
同 平野 正雄
講演日時
2022 年 12 月 4 日 (日曜) 14:00 – 17:30
[ オフライン講演 + オンライン配信 ]
プログラムと講演映像
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14:00 – 14:10
オープニング
平野 正雄 日本ビジネスモデル学会 会長
14:10 – 14:40
講演 1 「スタートアップによる知の社会実装 課題と展望」
馬田 隆明 東京大学 FoundX ディレクター
14:40 – 15:10
講演 2 「CVC からみたスタートアップ風景」
井上 智子
オムロン株式会社 グローバルコーポレートベンチャリング室 室長
オムロンベンチャーズ株式会社 代表取締役社長
15:10 – 15:40
講演 3 「早稲田大学におけるベンチャー創出の挑戦」(アーカイブ配信なし)
太田 裕朗 早稲田大学ベンチャーズ株式会社 ( WUV ) 代表取締役
廣瀬 雅 株式会社 Nanofiber Quantum Technologies Co-founder & CEO
15:40 – 16:00
休憩
16:00 – 16:30
講演 4「How to promote social implementation of knowledge」(アーカイブ配信なし)
フィル・ウィックハム Sozo Ventures 共同創業者兼マネージング・ダイレクター
16:30 – 17:15
登壇者によるパネル討議
モデレータ 牧 兼充 早稲田大学 大学院経営管理研究科 ( ビジネススクール ) 准教授
17:15 – 17:30
クロージング
西田 治子 日本ビジネスモデル学会 代表幹事
総合司会 浜本 亜実
登壇者 プロフィール
馬田 隆明 Takaaki Umada
東京大学 FoundX ディレクター
University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトを経て、2016 年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019 年から FoundX ディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている。著書に『 逆説のスタートアップ思考 』『 成功する起業家は居場所を選ぶ 』『 未来を実装する 』『 解像度を上げる 』。
井上 智子 Tomoko Inoue
オムロン株式会社 グローバルコーポレートベンチャリング室 室長
オムロンベンチャーズ株式会社 代表取締役社長
米 NJ 生まれ、一橋大学経済学部卒、ペンシルベニア大学ウォートン校 MBA、東京女子医科大学早稲田大学共同大学院共同先端生命医科学専攻修了博士(生命医科学)、スタンフォード大学バイオデザインプログラムファカルティフェロー。
新卒で東京三菱銀行 ( 現 三菱 UFJ 銀行 ) に入行し、投資会社勤務を経て産業革新機構入社。産業革新機構のもとで医療機器のベンチャーキャピタルの設立に携わり、ファンドの運営及び日本、シリコンバレーなどのシード~アーリーステージの医療機器ベンチャー投資に携わる。また、医療機器のイノベーターを育てるためのプログラムであるジャパン・バイオデザインプログラム ( 東京大学、大阪大学、 東北大学 ) や筑波大学のグローバル医薬品・医療機器マネジメント講座のプログラム立ち上げから講師、メンター、ファシリテーターを務めるなど、多方面で活動。
2018 年 4 月よりオムロンの CVC 代表、2022 年 4 月にオムロン ( 株 ) にグローバルコーポレートベンチャリング室を立ち上げ、室長を兼務。
太田 裕朗 Hiroaki Ohta
早稲田大学ベンチャーズ株式会社 ( WUV ) 代表取締役
京都大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻/助教を経て、カリフォルニア大学サンタバーバラ校にて研究に従事。2010 年より、マッキンゼー・アンド・カンパニーに参画。2016 年より、ドローン関連スタートアップである株式会社自律制御システム研究所 ( 現社名 : 株式会社 ACSL ) に参画、代表取締役社長として 2018 年東証マザーズ上場 ( CEO、会長を経て 2022 年 3 月退任 )。
2022 年より、早稲田大学ベンチャーズ ( WUV ) 共同代表。京都大学博士
廣瀬 雅 Masashi Hirose
株式会社 Nanofiber Quantum Technologies Co-founder & CEO
マサチューセッツ工科大学より量子技術分野で博士号を取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社にて約 7 年グローバル企業向け経営改革プロジェクトに従事。
2022 年より早稲田大学教授と量子コンピュータハードウェアの開発を目指すスタートアップを創業、CEO に就任。
フィル・ウィックハム Phil Wickham
Sozo Ventures 共同創業者兼マネージング・ダイレクター
早稲田大学ビジネススクール 客員教授
カウフマン・フェローズ 元 CEO
シリコンバレーの国際展開支援のトップファンドとして知られている Sozo Ventures で、ツイッター、スクエア、コインベース、ズームといった投資案件を支援する。ベンチャー投資家、スタートアップ起業家として豊富な経験を有し、世界最大規模の次世代ベンチャー・キャピタリスト育成機関であるカウフマン・フェローズの CEO を経て名誉会長として、ベンチャー・キャピタルの次世代リーダーの育成を支援してきた。
カウフマン・フェローズ出身者が設立した数多くのファンドを支援し、スポティファイへの投資で知られるスウェーデンの Creandum ( クレアンダム ) などで名誉顧問を務めている。また、スタンフォード大学工学部大学院で教鞭をとり、早稲田大学ビジネススクール ( WBS ) の招聘客員教授も務めている。
牧 兼充 Kanetaka Maki
早稲田大学 大学院経営管理研究科 ( ビジネススクール ) 准教授
慶應義塾大学環境情報学部卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校にて、博士 ( 経営学 ) を取得。慶應義塾大学助教・助手、カリフォルニア大学サンディエゴ校講師、スタンフォード大学リサーチ・アソシエイト、政策研究大学院大学助教授を経て現職。日米において、大学を基盤としたイノベーション・システムの構築に従事。特に日本においては、政府、地方自治体、大学等の委員会に関わり、有効なイノベーション政策のあり方について模索している。
平野 正雄 Masao Hirano
日本ビジネスモデル学会 会長
早稲田大学 大学院経営管理研究科 ( ビジネススクール ) 教授
1987 年から 20 年間、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて経営コンサルティングに従事。その後、プライベート・エクイティー大手のカーライルにおいて日本企業のマネージメントバイアウト ( MBO ) 投資に参画。2012 年から現職。現在、複数社の社外役員および企業アドバイザーを兼任中。
浜本 亜実 Ami Hamamoto
日本ビジネスモデル学会 プリンシパル
株式会社 Humanext 代表取締役
シャネル株式会社を経て、森ビル株式会社にて、Roppongi Hills のタウンマネジメント事業に参画。2005 年より現職にて人材開発、サービスデザイン事業に従事。現在、組織のボードメンバーを務める傍ら、研究も継続し、実践と理論の融合を目指している。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了 / 同大学院後期博士課程在籍中 (研究分野: Innovation Management, Leadership)